8.3. 細胞周期と有糸分裂
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真核細胞の染色体
どのような真核細胞の染色体でも、典型的には多数の遺伝子を担っている1本の非常に長いDNA分子を含んでいる 真核細胞の染色体数は種によって異なる
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ヒトは46本
染色体数は生物の大小や複雑性と一致しないことに注目せよ
タンパク質分子は、クロマチンの構成と遺伝子の活動の調節に関わっている
ほとんどの時期に、染色体はそれを格納している核よりもずっと長い繊維の広がった塊として存在している
実際、引き伸ばすと、ただ1個の細胞のDNAはあなたの背丈よりも高い
細胞が分裂に備えるとき、クロマチンの繊維は巻かれ、緻密な詰め込まれた染色体を形成する
この状態にあるとき、染色体は光学顕微鏡ではっきり見える
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分裂していないときには、染色体はあまりにも細くて光学顕微鏡では見えない
このように長いDNA分子は小さな核の中に収めることができる
DNAが、らせん巻きと折りたたみによる精巧かつ重層的なシステム(秩序構造)として染色体内部で詰め込まれるため
細菌は類似のタンパク質を持つが、真核生物で見られる程度のDNAの詰め込みは認められない DNAの詰め込みの主要な段階についての単純化したモデル
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上部近くに示された収納の最初の段階でヒストンがDNAに付着する
電子顕微鏡では、DNAとヒストンの結合が糸の上のビーズのように見える
細胞が分裂していないときには、発現中の遺伝子のDNAはこの軽く束ねられた「糸上のビーズ」配列をとる
分裂に備えるときには、染色体がさらに束ねられる
詰め込みの次の段階では、ビーズのついた糸はきつく巻いたらせん上の繊維へと折りたたまれる
この繊維はさらに太い超らせんへとぐるぐると巻き付く
ループ化と折りたたみによってDNAはさらに詰め込まれ、下部に見られるような染色体になる
細胞は分裂過程に入る前に、その染色体のすべてを複製する
それぞれの染色体のDNA分子はDNA複製過程を通じてコピーされ、必要に応じて新しいタンパク質分子が付着する
細胞が分裂するとき、倍加した染色体の姉妹染色分体は互いに分離する
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それぞれの娘細胞は完全、かつ同一の染色体組を受け取る たとえば分裂中のヒト皮膚細胞は46組の倍加した染色体を有し、分裂細胞から生じた2つの娘細胞はそれぞれ46本の単独の染色体を有する
細胞周期
細胞が分裂する速度はその生物の体内での役割に依存している
ある細胞は1日1日
別の細胞はもっと少ない
成熟した筋細胞のように高度に分化した細胞は分裂することはない 親細胞の分裂によってその細胞が生まれたときから、その細胞自身が分裂して2つの細胞になるまでの、順序どおりに進行する一連の過程
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細胞周期の大部分
細胞が生物内でのその正常な機能を行う時期
典型的な細胞では、間期は細胞周期の少なくとも90%続く
細胞増殖の観点から間期の最も重要な事象は染色体複製であり、そのとき核内のDNAがほぼ正確に倍加される
DNA倍加が起こる間期のほぼ中央の時期
S期の前後
G2期では、細胞内のそれぞれの染色体は2つの同一の姉妹染色分体からなり、細胞は分裂に備えている
細胞周期において実際に分裂している時期
核とその内容物、とりわけ複製された染色体が分裂し、等しく分配されて2つの娘細胞を形成する 細胞質分裂は通常、有糸分裂が完了する前に始まる
有糸分裂と細胞質分裂の組み合わせが2つの遺伝的に同一の娘細胞を生じ、それぞれの娘細胞は1つの核と細胞小器官を含む核の周囲の細胞質、および細胞膜を有する 有糸分裂と細胞質分裂
生物学者は有糸分裂を4つの主要な段階に区別
動物細胞の中心体は中心小体を中心にした、細胞質中の境界の不明瞭な領域 細胞質分裂は、通常は終期に行われる
動物細胞では、細胞質分裂過程は細胞の分割として知られる
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植物細胞の細胞質分裂は、細胞壁物質を含む膜小胞が細胞の中央に集まる 細胞板は遠心的に発達し、さらに多くの小胞が結合するにつれ細胞壁物質がさらに蓄積される
細胞板の膜は細胞膜と融合し、細胞板の内容物は親細胞壁と合わさる
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癌細胞 : 制御が失われる
細胞周期の連続的事象を制御する、細胞内にある特異的なタンパク質からなる
これらのタンパク質は、環境や他の体細胞からの情報を統合し、シグナル変換経路を用いて細胞周期の中の一定の要所で「停止や前進」のシグナルを送る たとえば、我々の神経細胞や筋細胞のあるものは、この経路を停止されている 前進シグナルを受け取ってG1期のチェックポイントを通過すれば、一般にに細胞は細胞周期の休止状態を終える
癌とはなにか
癌細胞は細胞周期制御系に対して正常に応答を示さない 癌細胞は過剰に分裂し、身体の他の組織を侵略し得る
抑制されなければ、癌細胞は宿主を殺すまで分裂し続けることになる
がん細胞の異常な行動は、ただ1個の細胞が形質転換を起こしたときに始まり、それによって正常細胞が癌細胞に転換する過程 形質転換は、細胞周期制御系内のタンパク質をコードしている1個または複数の遺伝子の遺伝的変化(突然変異)の結果起こる 形質転換した細胞は異常に増殖するので、免疫系は通常、異常細胞を認識して破壊している しかし、その細胞が破壊を逃れるならば、身体の細胞が以上に増殖する腫瘍 tumorを形成する 異常細胞が原発部位にとどまっている腫瘍
良性腫瘍は、大きく成長して害を及ぼすほどであれば問題だが、たいていは手術によって完全に取り除くことができる
近隣の組織や身体の他の部位に広がり得る腫瘍
正常な組織に取って代わったり、器官の機能を阻止したりする
悪性腫瘍を有する人は癌をもっていると言われる
癌細胞は、もとの腫瘍から分離したり、あるいは腫瘍のほうへ血管を増大させるシグナル分子を分泌することが可能
少数の腫瘍細胞が循環系またはリンパ系(血管またはリンパ管)に入り、身体の他の部位に移動して増殖し、そこで新たな腫瘍を形成することが可能 癌細胞が原発部位の外に蔓延すること
癌治療
癌治療の3つの主要な型は「一撃、一焼き、および毒薬」としてしばしば言及される
腫瘍を取り除く手術
「一撃」
通常第1段階
「一焼き」
悪性腫瘍を有する身体の部位に高エネルギー放射線の集束ビームを曝露し、身体の正常細胞をひどく傷つけることなく癌細胞を高頻度に破壊できる しかし、ときには望ましくない副作用を引き起こすほどの損傷を正常細胞に与えることがある
「毒薬」
薬剤が細胞分裂を阻害するために投与される
これらの薬剤は多面的にた働く
ある種の薬剤は紡錘体形成を阻害して細胞分裂を妨げる
形成後の紡錘体を固定し、機能を抑制する
パクリタクセルはホアの数多くの抗癌剤よりも副作用が少ない 卵巣や乳房の治療しにくいがんに対して有効とみられている
紡錘体の形成をはじめから妨げる
癌予防と生存
一定の生活様式の変更が癌の発達する可能性を減じること、あるいは生存飲み込みを増すことになりうる
禁煙すること
適切に運動すること
太陽に過度に露出すること避けること
多量の繊維質かつ低脂肪食を摂ること
7種類の癌は容易に検出することができる